8 マドリッドプロトコル 代理人(弁理士)に委託する際の注意点
この箇所を実は一番書きたかった。
弁理士さんの専門性には敬意を払うに値すると思います。弁理士さんの業務を批判する意図などもないです。
イノベーションによる知的財産を保護するという、時代の革新に常に寄与してきたプロフェッショナルな職業と思っています(一部それに達していないレベルの方もいますが)。
ただ、弁理士さんに知財業務を委託する際には(これは弁護士さんもそうですが)、よく「実務上」というブラックボックスを作り出すマジックワードがよく使われます。
実務上というのは「法令等には記載されていないが、業界において成り立っている慣行」と捉えていいでしょう。
良心的な弁理士さん(弁護士さん)はその「慣行」を詳しく説明してくださる方もいらっしゃいますが、やはりそこを「実務上こうなっているから仕方ない。だからコストも適正である」というブラックボックス的説明によってこっちがコストの適正性にリーチできないような説明をされる方もいます。
ただ、その方のいう「実務上」はその方のただの「主観」に過ぎず、実際には明確なガイドラインが存在していたり、また違っていたり(その分野に詳しい専門家に聞けばわかります)するのが「比較的多い」、というのが実感としてあります。
ですから、弁理士さんに委託するにしても、個人・企業の担当者はできるだけその分野の法令や判例を読み漁り(ネットにおちています)、弁理士さんのいう実務上というブラックボックスが出願等のフローで「どこに存在しているのか、はたしてそれがブラックボックスといえるほどに」を、特定しておくことが、コストの適正性を把握するために必須であると考えます。
経験を交えて例を紹介していくと・・・・
A.現地代理人を把握しましょう。
なぜなら、このような応答ではあまりにも商標権保護についての予測可能性が害されます。しっかり、弁理士さんがどのような現地代理人を使っているのか、実績はどうなのか、突っ込んで聞くべきです。そのあと、自らも調査しましょう(もちろん守秘義務なども関連してくるでしょうがこちらがコストを負担する以上、遠慮する必要はありません)。
(弁理士)具体的な話になると、どうしてもケースバイケースとなる。
A.「見立て」を立ててもらいましょう。
当然、法律等は抽象的なもので、それを各具体的事案に落としていくのが重要となります。ただ、具体的な話がケースバイケースという言葉は乱雑です。
なぜなら、先例となる裁判例や行政庁の取扱いを把握していれば、具体的事案に対してもお「見立て」立てられるからです。
(弁護士さんはこの言葉をよく使いますが彼らは事案がかなり複雑なものを法的構成に引き直してどのような法的主張を選択していくか、裁判官の心証を把握しながら、負け筋なら和解をゴールとするのか、膨大な裁判例の射程をどこに引くのか、そもそも裁判までいくのか、という大分高度なstrategyを組みます。ですので「見立て」は立てられることは立てられますが、どうしても見立ての解像度が低くなる、つまりボヤっとしてしまうのは致し方ない点はあります。他方で、もちろん弁理士さんにもそういうstrategyはありますが、弁護士程には事案は複雑ではありません
(特に商標は)
ケースバイケイースでしか説明できない弁理士さんは正直不要だと思いますが・・・・
そこは必ず「見立て」をどのレベルで立てれるのか、精緻な言語化によって説明してもらいましょう。コストを負担する以上、遠慮はしてはいけません。
※なお、弁護士・弁理士の方を無暗に先生と呼ぶのはやめたほうがよろしいかと思いあます。必要以上に下手にでるのは当事者間の公平な感覚を狂わせ「ブラックボックス」を促進するのでお勧めしません。
他にも気をつける場合を列挙していきましょう。
現場でひねり出したような提案
A.その現実的可能性を検証しましょう
例1これは実際に経験したものです。商標の類似範囲に含まれることによる効果としての禁止権から逃れるために、弁理士さんは以下のような方法を提案しました。
※これは私が作成したものです
しかし、そもそも類似回避商標の位置が視覚的なものとして出てくるものではない。したがって、それがどこにあるのか知り得ないのです。
また同様にオレンジの範囲がどこまでなのかも知り得ないのです。
つまり、弁理士さんの提案は「非現実的」な提案であったのですが、それを担当者である私は「そういうものなのか」と提案として受け入れてしまいました。
これは明らかに担当者である私が担当者という「当事者意識」を欠いたために生じた「検証」ミスです。もちろん、上長も同席し、先生の説明に納得はしているようでしたが、法務専門性の対価として賃金が生じている企業法務担当なのであれば上長がどう考えるかは関係なく、提案の実現可能性を個別に検討すべきであったのです。
このことがあったときから、私の企業法務の当事者意識は格段に上がりはしましたが、やはり実現可能性の低い提案を受け入れることによって会社に余計なコストを生じさせた責任は今でも感じています。
そして、現場でひねり出した提案は、判例・法律等に定められた定型的なものではないので、その現実的可能性を精緻に検証することが必要です。そのためには最低限その分野の全体像は把握しておかなければなりません。商標担当者であれば、商標の本を2~3冊は読んで、口頭で全社員に概要を説明できるレベルに達しておくのが好ましいです
例2とにかく何でもいいから商標登録をして使用実績を積み上げることも、今後の商標登録のための施策としては有効である。
これも、なぜそれが有効なのか、商標に対する知識がなければ不明です。
商標は、出願時に商標をつける商品・役務(サービス)をセットで指定しておくことが要請されます。なぜなら、商標制度の趣旨が、需要者において商品・役務の出所(提供者)の誤認・混同が生じること防いで消費者を保護することと、提供者の顧客吸引力にフリーライド(ただ乗り)することを防いで提供者を保護することにあるからです。
前者の消費者保護の趣旨を前提に、商品・役務の類似性の判断基準は「取引実情を考えて出所混同を引き起こすかどうか」によって判断される、転じて「登録商標の出願前から当該商標の使用実績があり需要者間でそれが広く認識されて出所混同を招くおそれがない」場合には商標使用には当たらないという例外を導くことができます。
これまでの知識があって初めて、弁理士さんの主張の意味を解釈でき、その有効性を判断できるのです。
では例3は使用実績と認められるものでしょうか?
例3結果として商標登録されずとも、その商標を使用して販売することが使用実績につながる。なぜなら商標権の考えとして、商標に「化体」している信用を保護するのが趣旨であるからであるから。
しかし、使用実績は5年~10年経って初めて主張できるもの。1年半などでは主張できないのです。・・・・できないじゃん。
では例4はどうでしょうか?自分で考えてみましょう
例4カタカナでの商標登録をお勧めする。例えばパンフレットでカタカナ表記をしておいて、その下にアルファベット文字で登録したい商標を併記しておくとそれが使用実績になるから。
っということで、ではではまた〜〜!
7 マドリッドプロトコル 想定指定国での類似商標調査!!
これは国際登録において一番初めのアクションとなるので、初め書くべきでした。あまり基本書には書いていないところですが。
というのも、事前に想定指定国において類似商標などの存否を確認し、商標の登録障害の可能性を認識した上でなければ、
出願する類(指定商品や役務を分類するもの)及び指定商品・役務を適切に決定できないからです。
(1) 商標調査の方法の種類
この商標調査においては、後述するマドリッドプロトコル制度の容易するネットサービスを使用するか、弁理士に委託するか(弁理士が現地の代理人を使って商標調査の結果を送ってきます)の2択になります。
私は後者を使いましたが、現地の代理人の精度が弁理士しか把握していないので、たとえ同一の弁理士事務所を使用していても国別で上がってくる調査書の精度はかなり変わってきます。
その国(いわんでもわかりますね・・・)の商標状況がカオスすぎたのかもしれませんが。
だから、調査書が上がってきても全く役に立たない場合があります。
そこで、弁理士ルートを使うにしても現地代理人の出してくるドキュメントを参照しつつ自らもネットサービスを使用する、という両使いの方が良いでしょう。
ちなみに、現地代理人はその商標のもつ現地での意味を教えてくれる場合もあります
(例えば会社の名称ロゴ登録の際に、会社の名称が現地ではネガティブイメージ企業と同一であったり・・・などです)
(2)ネットサービスについて
詳細はWIPOのHP参照。これを使えるとだいぶ委託する作業が減り、さらには内製化も十分可能でしょう(現地代理人とのパイプを持てればですが)。
次回はラスト?になりますかね
そして、これが一番、士業の方に委託する際に大事なことだと思います
「商標担当者として気をつけるべきこと〜「実務」というブラックボックス」
ではでは!!
6 マドリッドプロトコル セントラルアタック(国際登録の従属性)
はい、どーも。
で、もうマドリッドプロトコルの説明も佳境になってきましたわね。
なんか説明の順番や語尾が不統一なので分かりにくですねぇ、あとで修正しますゆえ 少々お待ちを!
んで、今日はかなり難しく説明されている「セントラルアタック」について、できるだけ分かりやす〜く説明していきたいと思います!
法律は宇宙のデブリみたい。生きる世界では認知はしないけれど確実にそれにより行動は規制されています。認知が広まるように!
1.概要
①国際登録の基礎となった出願又は登録(以下、セントラル)が、国際登録日から5年の期間が満了する前に拒絶、放棄、無効等となった場合、
②又は当該5年の期間満了前に拒絶査定不服、登録無効(取消し)等の審判が請求され、5年の経過後に拒絶、放棄、無効等が確定となった場合に、
国際登録された指定商品(役務)の全部または一部についての国際登録が取り消され、結果として指定国における国際登録の効果も当該取り消しに係る範囲内で失効するという制度です。
分かりましたか?笑
まあ今はとにかく国際登録から5年が経過する前の問題
ってことぐらいの理解でいいっす。
2.セントラルアタックの手続
本国官庁は、国際登録出願のセントラルについて、国際登録日から5年の期間が満了する前に、
①〜⑤のどれかが生じれば国際事務局へセントラルアタック通報をします。(日本国特許庁は、事前に通報内容を出願人に通知してくれます。優しいなぁ。特許庁は株式会社「日本」のグローバルな立場を意識してくれている感じですね。)
また、5年の期間が満了する前に④or⑤の審判が請求され、5年経過時に確定していない時は、当該請求がある旨を国際事務局へ通報をします。
ここでも国際登録から5年が経過する前の問題という意識を持っていると理解が早くなります。先に言っちゃいますと5年経過後は国際登録は従属性から解き放たれ独立した商標となるのです。
だから
「国際登録から5年経過前」に「セントラル」が「消滅・拒絶等(アタック)」されたかがセントラルアタックの本質です。
もうこれだけ覚えていれば、あとはチョチョイのちょいです。
①〜⑤は
①指定商品(役務)が補正により減縮
②拒絶、却下、取り下げ、放棄が確定
③存続期間満了
④拒絶査定不服審判が請求され、拒絶が確定(5年経過後を含む)
⑤ 異議申立・登録無効(取消)審判が請求され、商標権が取消(5年経過後を含む
です。図でみたら分かりやすいっすね。あと④⑤で「5年経過後」を含むと言っているのは、5年の期間満了前に既に権利についての争いが生じているからですね。裁判長引かせて5年経過すれば「国際登録として独立している!」って主張させるのは明らかに不当ですから。
3.国内商標出願への転換(トランスフォーメーション)
ただ、セントラルアタックによって国際登録において指定された商品(役務)が取り消された場合でも、救済措置があります。つまり
国際登録簿に取り消しの記録がされた日から3月以内に、
取り消された指定商品(役務)の範囲内で、
指定国にその国の条件を満たす商標登録出願(直接出願)を行えば、当該出願は国際登録日(事後指定ならその日)に行われたものとみなされます。
素早く直接出願すれば補填が認めたるで!って話です。
4.国際登録の独立性
もう述べましたね。これを意識しないと1〜3で述べてきたセントラルアタックを理解できないですからね。
まあ、一応確認しておきましょ。
国際登録は、当該国際登録日から5年の期間が満了したときは、セントラルから独立した標章登録が構成します(もちろんセントラルアタックで失効になった範囲を除きますよ!)
以上がセントラルアタックの全体設計です。ただ、セントラルアタックによって国際登録が失効した割合は、出願の1%に満たないぐらいです。なので、しっかり対応すればセントラルアタックがデメリットとして顕在化することはないでしょう。
では、終わり! 最後はおそらく、一番みなさんに
伝えたい、マドリッドプロトコルに限らない、士業の方にコンサルタントorアウトソースする時の注意点を書きますね〜〜んでは!
あと、下の唐突太字ポエムは特に読まなくていいです。
でも読んでくれたら嬉しいです。
(最近思ったのですが、法治国家における法律家は、法解釈を通して人民と法制定機関とを繋ぐ役割だなって考えたら、国家公務員的だなぁと思いますねえ。高い給料をもらおうとかではなく、専門性を活かして社会を機能させる役割を担っているという意識があれば結構法律の勉強はhappyです。・・・・同期が4大法律事務所で高給を使う暇なく鬱っぽく働いているのを見ると、余計に感じます・・・奴隷と自虐してましたからね まさに9時5時の世界らしいので)
人生がエンターテイメントというのであれば
家族はじいちゃんを諌める一方で僕は「当然だろ」と主張していたことを思い出しました。 戦後日本を支えた誇り高き祖父が、無理やり生きる養分を送られ「生命維持」を強制されることを、許すと思うか。じいちゃんの誇りまで殺すな、と。
5 マドリッドプロトコルの「具体的な」審査手続き
どうもです。
最近調子がいいです。
でも相変わらず寝れてません。
多動を意識すると予定が詰まりますなぁ、メンタルとフィジカルを鍛えて乗り切りますよ〜!
文章さらに乱れると思いますが、許して、どうぞ(恩赦
(あとセントラルアタックは次の記事にて紹介しますゆえ)
(指定国の官庁の実体審査まではいきませんよ〜)を紹介していこうかなぁと。
前の簡易な権利化のフローでは何が何やらでしょうしおすし。
マドリッドプロトコルの審査手続について
(1)本国官庁による審査
まずは本国官庁(日本特許庁)による審査となります。なお、MM2は英語願書を意味します。日本特許庁は英語願書しか受け付けていないですね。
本国官庁による審査で1番問題となりやすいのは「基礎商標の同一性」判断です。
先述した点を考慮して、完全に同じものを提出するように心がけましょう。
なお、商品役務の範囲について、弁理士を代理人として選任するなら間違うことはない(とは思いますが)ですが、選任しないのであれば特許庁の方に連絡して教えてもらった方がいいでしょう(もちろん相手方も忙しいので事前に最大限分類を調べてから、ですね)。
(2)国際事務局による審査
国際事務局の審査は形式審査であり、指定国にその出願された商標と類似するものがあるかなど、商標登録の実現可能性という「実体審査」は行いません。
よくひっかかるになるのが、指定商品・役務の分類又は表示が間違っているという指摘です(弁理士を使っていてもひっかかりましたね・・・・ちょっと弁理士さん!!)。
ただ、これは補正という形でなされるので、アドバイスが付されています(しかも超親切、英語ですがわからなければグーグル翻訳さんにぶち込めば!)。(いやほんと優しいです、後から黒塗りしたものをアップするかもです。)
とても出願人に配慮された制度設計となっているので、出願人はそれにしたがって修正すれば問題ありません。
役に経ちましたかね?
それではさらばです!
4 マドリットプロトコルのデメリット
おお、なんか多動性・衝動性を取り戻してきた感覚が・・・ある!
特に人との繋がりが自然に増えているのをみると感じます!
自身のテンションが高いのが人生では「一番の価値」と思いますね。
この映画は「その感じ」がいいんですが笑
マドリットプロトコルのデメリット
当然どんな制度にもデメリットはあります。
Ⅰ (国内)基礎登録・基礎出願が必要
ただ、これは国内展開している・する予定であるならデメリットとは言えません。
ここでデメリットとなるのは、その国際登録と基礎の同一性判断が厳格であるところにあります。
①基礎登録・基礎出願の名義人の同一性
②基礎登録・基礎出願の標章の同一性
③指定商品・役務が基礎登録・基礎出願の指定商品・役務の範囲内であること
この3つの要件を満たす必要があるのですが、②の標章の同一性の判断の厳格性が主なネックとなります。
※縦書き横書きの相違、文字フォントの相違、色彩のみの相違、文字の太さの相違(これは実際に経験しました・・・)であっても同一とは認められません。
また、日本国内では、アルファベット文字とカタカナ文字の2段併記の標章が多くみられますが、がアルファベット文字のみについての国際出願は、標章が異なるとの理由で②に欠けます。
さらに、日本語で構成される標章とその翻訳からなる標章も、②の標章の同一性の要件がないとされます。
マドリッドプロトコルを使用する場合には、基礎登録・基礎出願の保護対象とする標章の選択時に上記の点を留意しなければなりません。
Ⅱ セントラル・アタック
これについては後で詳述します。
かなり複雑なので。
では!また!
3 マドリッドプロトコルのメリットの懐疑
どん
うちのわんこの名前のソース。
ところでちゃんと自分でブログを作りましょうかね!
コードかけないですけど!
んまあ、ではでは早速、マドリッドプロトコルのメリットへの懐疑、特に現地代理人コストや事後指定のコストってメリットって言えるのか?、について検討していきましょう!
メリット4(現地代理人コスト)について
WIPO日本事務所 とのやりとりで、なんとか聞き出したのですが、
マドプロ出願をする会社でも約9割は本国及び現地代理事務所・代理人を結局使うので代理人コストは直接出願に近しいものとなっていると感じている、と。
ほーん・・・
また、マドプロ出願は低廉には見えるが暫定拒絶通報などで手続が重なれば重なる程出願・登録のコスト面でのメリットは直接出願と同程度になることが多いとも思う、とのことです。
ん?・・・・・じゃあなんであんなセミナーで現地代理人選任しなくていいというメリットを前面に出すのだ!!
ちょっと憤慨でしたわね。でも答えてくれるあたり、誠実な行政庁だな〜とも思いました(ある省庁は・・・・ホント・・・・)
「もっとも、マドプロ出願のメリットは出願・登録までのコストではなく、むしろ管理のコストにある。例:名義変更・所在地変更や期間満了による権利の更新時には、国際事務局での一括してその変更・更新を全体に反映させらる。」
と熱弁されてました。 んーそれは確かにそうですね。ワールドワイドにやっている事業者にとってはもろにメリットですね。
メリット6について
有効期間の起算点が、国際登録に随伴する。
つまり、こういうことです
追記:「映画」レオンは完全版をみてくれー 地上波ではただのロリコンっ「ぽい」描写しかないじゃない! フェチズムかは知らんが、偏ったものは描き切ることが大切だと思うのです。初めから切ってはダメなんだと思うんだぜ!
んではわかんなかったら何かコメントくださいな〜〜
では!